
【書評】戸建から始める家賃収入1億への道
2025.3.14
賃貸経営の成功には、時代に応じた戦略と、長年の経験から得られる深い洞察が必要です。プロフェッショナルとして賃貸経営で成果を上げ続けている不動産投資家の著書を取り上げ、その知見を掘り下げていきます。
今回は、『戸建から始める家賃収入1億への道』(バランス大家・著)を紹介します。
『戸建から始める家賃収入1億への道』
不動産投資と言えば、少額であっても数千万円の借り入れが必要で、ある程度の元手がなければ十分な成果を得ることはできないのではないか。そもそも不動産投資を始められる人というのは、資本力のあるごく一部の限られた人たちなのではないかと、訝(いぶか)しむ人も多いようです。
そういった、一見すると高いように感じる不動産投資の敷居を、”小さくはじめて大きく育てる“をコンセプトに、リスクが低く着実に拡大できる方法を解説しているのが、本書『戸建から始める家賃収入1億への道』です。
とは言っても、再現性のない成功例をダラダラと紹介する不動産投資本も多いため、本書が本当に信頼に足る内容なのかも疑わしいかもしれません。もし、そうお考えなのであれば、まずは序章だけでも読むことをおすすめします。
著者であるバランス大家氏は、神奈川県のいわゆる地場大手・中堅クラスの不動産会社の創業者の次男坊。自由気ままな放蕩息子然とした子ども時代を過ごし、バイトなども一度も経験せず大学は中退。その後は、語学留学とかこつけた1年間のハワイ留学や世界一周旅行など、正直読んでいて鼻持ちならない世間知らずなボンボン息子の半生が紹介されています。
しかし、その後大きな転機が同氏に訪れます。父親の会社で働くなかで、自身の仕事のできなさぶりに打ちのめされます。詳細は省きますが、そこから努力でなんとか持ち直すも、30歳にして無職に。新たに不動産会社を経営しつつ、そこでも失敗を繰り返しながら、38歳頃から本格的な不動産投資を始めます。そして、2024年現在では55棟、190室、家賃収入1億5000万円、キャッシュフロー6000万円の投資家となっています。
一度はどん底に落ちたなかでも、再びチャンスを掴むきっかけとなった不動産投資について”持たざる者であっても、道を間違えさえしなければ成果を出せるのが不動産投資です“と、著者は説得力を持って語ります。
さて、本題ですが本書はタイトルからもわかるとおり、戸建て投資を推奨しています。その理由として、小さな投資から始められる点や、少額のためリスクが取れる範囲内であることなどが挙げられています。加えて、物件を選ぶ際「住宅ローンが下りる物件かどうか」を尋ねられる点というのも大きな理由です。住宅ローンを使った投資をする、ということではなく、本来戸建ては実需でも購入ができる物件のため、住宅ローンが下りるかどうかを確認することで、担保評価をより正確に把握することができるのです。
これは、不動産に詳しくない初心者であればかなりのメリットになります。住宅ローンはその物件に「遵法性」がなければ借り入れることはできません。つまり、容積率や建ぺい率、接道義務、市街化区域かなど、担保評価がつくかどうかの条件がクリアされているかどうかを、住宅ローンの質問によって確かめることができるのです。
そして実践編として
- 仕入れ
- 融資
- 賃貸付け
- (出口戦略)
についてが章立てで解説されており、各章でも「戸建て購入可否の判断基準7カ条」や「融資審査の4要素」などが細かく実践的に解説されています。
「不動産賃貸業、不動産投資業は目的ではなく手段です。読者の皆さんの目的は『幸せになるため』です。不動産投資にばかりかまけていないで、家族にもちゃんと還元してあげましょう」と、「家族円満の秘訣」という章があるほどの実践形式ぶりです。
本書の最大の魅力は、著者自身の失敗と成功の経験に基づいた実践的なアドバイスにあります。理論だけでなく、具体的な判断基準や手順が示されており、初心者でも道筋が見えやすい内容です。
特に戸建て投資という入口の選び方は、初期投資を抑えながらも将来的な拡大を視野に入れた賢明な戦略と言えるでしょう。
不動産投資に興味はあるものの、リスクや初期投資に不安を感じている方にとって、現実的なアプローチを示してくれる良き指南書となるでしょう。
『戸建から始める家賃収入1億への道』バランス大家・著/プラチナ出版/2024/7
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