TOPコラム一覧賃貸市場レポート【2025年3Q(7~9月)】GLC賃貸市場レポート
【2025年3Q(7~9月)】GLC賃貸市場レポートアイキャッチ画像

グローリア・ライフ・クリエイト(以下、GLC)が管理する関東一都三県の賃貸物件の情報を集計し、2025年第3四半期(7~9月)の3カ月間における各行政区やエリアごとの平均賃料や㎡あたりの賃料データの推移について分析した【2025年3Q(7~9月)】GLC賃貸市場レポートを公開します。

夏の安定期から秋の需要回復期への移行期間となった2025年第3四半期において、首都圏賃貸市場では緩やかな市場安定化地域特性の明確化という2つの大きな特徴が確認されました。

※本調査内容の転載にあたりましては、「グローリア・ライフ・クリエイト調べ」のクレジットを付記の上、ご使用いただきますよう、お願い申し上げます。

2025年3Q(7~9月) 首都圏(一都三県)の賃貸データ推移

一都三県 3カ月推移データ

地域項目7月8月9月変動率(7→9月)
東京都平均賃料(円)65,963円65,940円66,343円+0.58%
平均面積(㎡)18.93㎡18.91㎡19.02㎡+0.48%
賃料㎡単価(円/㎡)3,485円/㎡3,487円/㎡3,488円/㎡+0.09%
神奈川県平均賃料(円)59,048円58,777円58,865円-0.31%
平均面積(㎡)20.45㎡20.28㎡20.34㎡-0.54%
賃料㎡単価(円/㎡)2,887円/㎡2,898円/㎡2,894円/㎡+0.24%
埼玉県平均賃料(円)59,948円60,180円60,112円+0.27%
平均面積(㎡)25.56㎡25.60㎡25.39㎡-0.67%
賃料㎡単価(円/㎡)2,345円/㎡2,351円/㎡2,368円/㎡+0.98%
千葉県平均賃料(円)60,588円60,563円60,505円-0.14%
平均面積(㎡)26.2626.2826.30+0.15%
賃料㎡単価(円/㎡)2,3072,3052,301-0.26%

一都三県 推移サマリー

2025年第3四半期(7~9月)の首都圏賃貸市場は、市場の安定化傾向が顕著となりました。前四半期(2Q)で見られた大幅な㎡単価上昇とは対照的に、全体的に穏やかな変動で推移しました。

賃料推移では東京都が+0.58%と微増を維持し、埼玉県も+0.27%の小幅上昇となりました。一方、神奈川県(-0.31%)と千葉県(-0.14%)では微減となり、東高西低の構造が鮮明となっています。

㎡単価については埼玉県が+0.98%と最も高い上昇率を示し、東京都(+0.09%)、神奈川県(+0.24%)が微増、千葉県(-0.26%)のみ微減となりました。2Qで見られた急激な上昇から持続可能な成長率へと移行したことが特徴的です。

2025年3Q(7~9月) 東京都賃貸データ推移

東京都 3カ月推移データ

東京都全体7月8月9月変動率(7→9月)
平均賃料(円)65,963円65,940円66,343円+0.58%
平均面積(㎡)18.93㎡18.91㎡19.02㎡+0.48%
賃料㎡単価(円/㎡)3,485円/㎡3,487円/㎡3,488円/㎡+0.09%

東京都主要エリア動向

注目上昇エリア:大田区の躍進

大田区は3Q期間中に+4.49%という都内最大の賃料上昇率を記録。平均賃料が68,678円から71,762円へと3,084円上昇し、羽田空港国際化効果と品川駅周辺再開発の波及効果が確認されます。

高級住宅地の堅調推移

渋谷区(95,000円)、世田谷区(89,000円)、目黒区(88,000円)など、従来からの高級住宅地が90,000円前後の高水準で安定推移しています。

下落エリア:新宿区

新宿区は-3.51%の下落を記録しましたが、㎡単価4,106円という高水準を維持しており、商業・業務地区特有の一時的調整と判断されます。

東京都 推移サマリー

東京都の賃貸市場は3Q期間中に安定的な微増推移を示しました。賃料が+0.58%、㎡単価が+0.09%と、2Qの急激な上昇から一転して持続可能な成長へと移行しています。

㎡単価3,488円は依然として一都三県で最高水準を維持しており、東京都のプレミアムポジションは揺るぎないものとなっています。都心三区の圧倒的優位性と、大田区の突出した上昇により、区部間の選別と階層化が一層鮮明になっています。

2025年3Q(7~9月) 神奈川県賃貸データ推移

神奈川県 3カ月推移データ

神奈川県7月8月9月変動率(7→9月)
平均賃料(円)59,048円58,777円58,865円-0.31%
平均面積(㎡)20.45㎡20.28㎡20.34㎡-0.54%
賃料㎡単価(円/㎡)2,887円/㎡2,898円/㎡2,894円/㎡+0.24%

神奈川県主要都市動向

横浜市の微調整局面

横浜市は県内最大都市ながら賃料-0.44%の微減となりました。ただし㎡単価は+0.64%上昇しており、コンパクトで効率的な物件への需要シフトが進行しています。

川崎市の安定推移

川崎市は賃料+0.13%とほぼ横ばいながら安定推移。平均賃料67,789円と横浜市を上回る水準を維持し、東京アクセスの良好さが継続的に評価されています。

神奈川県 推移サマリー

神奈川県は3Q期間中に微細な減少となりました。㎡単価の微増(+0.24%)は効率性重視の傾向を示し、適正価格への回帰が進行中です。全体として-0.31%という軽微な調整に留まり、健全な市場調整の範囲内で推移しています。

2025年3Q(7~9月) 埼玉県賃貸データ推移

埼玉県 3カ月推移データ

埼玉県7月8月9月変動率(7→9月)
平均賃料(円)59,948円60,180円60,112円+0.27%
平均面積(㎡)25.56㎡25.60㎡25.39㎡-0.67%
賃料㎡単価(円/㎡)2,345円/㎡2,351円/㎡2,368円/㎡+0.98%

埼玉県主要都市動向

さいたま市の顕著な成長

さいたま市は+3.91%という県内最大の賃料上昇率を記録。平均賃料が61,591円から64,000円へと2,409円上昇し、県庁所在地としての求心力と交通ハブ機能が市場に反映されています。

川越市・川口市の安定基盤

川越市(+0.18%)と川口市(+0.17%)は安定した成長を示し、それぞれ観光都市東京近接都市としての特色を活かした需要を確保しています。

埼玉県 推移サマリー

埼玉県は3Q期間中に一都三県で最も高い㎡単価上昇率(+0.98%)を記録し、注目すべき成長を示しました。さいたま市の突出した上昇が全体を牽引し、専有面積25.39㎡という広さを維持しながらの価値向上は、コストパフォーマンス向上の明確な証左となっています。

2025年3Q(7~9月) 千葉県賃貸データ推移

千葉県 3カ月推移データ

千葉県7月8月9月変動率(7→9月)
平均賃料(円)60,588円60,563円60,505円-0.14%
平均面積(㎡)26.26㎡26.28㎡26.30㎡+0.15%
賃料㎡単価(円/㎡)2,307円/㎡2,305円/㎡2,301円/㎡-0.26%

千葉県主要都市動向

八千代市の注目上昇

八千代市は+1.38%という県内最大の上昇率を記録。㎡単価も+1.37%と価値向上が顕著で、東葉高速鉄道沿線としての立地価値向上が確認されます。

市川市・船橋市の完全安定

市川市(県内最高水準65,429円)と船橋市(61,500円)は共に変動率±0.00%の完全安定推移を示し、成熟した需給バランスを実現しています。

千葉県 推移サマリー

千葉県は3Q期間中に極めて軽微な調整(-0.14%)を経験しました。専有面積26.30㎡という一都三県最大の広さを維持しながらの安定推移は、ファミリー層向け市場の健全性を示しています。

2025年3Q 市区町村レベル注目エリア分析

賃料上昇率ランキング TOP10(7月→9月)

順位市区町村変動率7月賃料9月賃料
1位東京都大田区+4.49%68,678円71,762円
2位埼玉県さいたま市+3.91%61,591円64,000円
3位東京都港区+2.1%117,500円120,000円
4位東京都渋谷区+1.8%93,300円95,000円
5位東京都千代田区+1.7%83,600円85,000円
6位東京都目黒区+1.5%86,700円88,000円
7位千葉県八千代市+1.38%51,111円51,818円
8位東京都文京区+1.3%81,000円82,000円
9位東京都世田谷区+1.2%88,000円89,000円
10位東京都豊島区+1.0%77,200円78,000円

㎡単価上昇率ランキング TOP10(7月→9月)

順位市区町村変動率7月単価9月単価
1位千葉県八千代市+1.37%1,753円1,777円
2位埼玉県さいたま市+0.95%2,641円2,666円
3位東京都大田区+0.82%3,667円3,697円
4位神奈川県横浜市+0.64%2,817円2,835円
5位東京都足立区+0.52%3,456円3,474円
6位東京都北区+0.46%3,274円3,289円
7位東京都墨田区+0.29%3,787円3,798円
8位東京都江東区+0.23%4,345円4,355円
9位東京都品川区+0.21%3,723円3,731円
10位東京都荒川区+0.21%3,808円3,816円

下落エリアの実態

市区町村変動率7月賃料9月賃料要因分析
東京都新宿区-3.51%80,425円77,603円一時的な調整局面
神奈川県横浜市-0.44%57,604円57,353円微細な市場調整
東京都中央区-0.30%51,219円51,063円小幅な価格調整

高額賃料エリア TOP10(9月時点)

順位市区町村平均賃料㎡単価専有面積
1位東京都港区120,000円5,500円/㎡21.8㎡
2位東京都渋谷区95,000円4,500円/㎡21.1㎡
3位東京都世田谷区89,000円3,900円/㎡22.8㎡
4位東京都目黒区88,000円4,100円/㎡21.5㎡
5位東京都千代田区85,000円4,200円/㎡20.2㎡
6位東京都中野区82,107円3,589円/㎡22.9㎡
7位東京都文京区82,000円4,300円/㎡19.1㎡
8位東京都豊島区78,000円4,000円/㎡19.5㎡
9位東京都新宿区77,603円4,106円/㎡18.9㎡
10位東京都杉並区76,288円3,634円/㎡21.0㎡

2025年3Q 市場トレンド分析

安定化傾向の確認

3Q期間中の最大の特徴は、市場全体の安定化です。2Q期間で見られた急激な変動(東京都㎡単価+4.95%など)から一転して、全地域で±1%以内の穏やかな変動に収束しました。

地域特性の明確化

  • 東京都: 高価格帯での安定推移
  • 神奈川県: 価格調整局面
  • 埼玉県: 価値上昇局面
  • 千葉県: 横ばい安定局面

需要構造の変化

専有面積の動向から、以下の需要変化が確認されます。

  • コンパクト志向: 東京都・神奈川県で顕著
  • 広さ重視志向: 埼玉県・千葉県で継続
  • 効率性重視: 全地域共通のトレンド

まとめ

2025年第3四半期(7~9月)の首都圏賃貸市場は、市場の安定化と成熟化が最大の特徴となりました。前四半期の急激な変動から一転して、穏やかで持続可能な成長へと移行したことが実データから確認されます。

地域格差の現状

㎡単価格差:港区5,500円 ~ 千葉県2,301円(2.39倍) 専有面積格差: 千葉県26.30㎡ ~ 東京都19.02㎡(1.38倍)

この格差は各地域の特性を反映しており、多様な住宅ニーズに対応する健全な市場構造を形成しています。

市場成熟化の新段階

3Q期間で確認された市場の安定化は、単なる一時的現象ではなく、首都圏賃貸市場が成熟化の新段階に入ったが考えられます。今後は急激な全体上昇よりも、エリア特性・物件品質・ライフスタイル適合性による細分化された需要に応える供給戦略が重要となり、多様性と安定性を両立した健全な市場環境の構築が進むものと期待されます。

特に都心三区の明確な階層化地域間格差の拡大が数値で確認されたことは、首都圏不動産市場の構造的変化を示す重要なポイントです。

本調査は、GLC管理物件の実際のデータに基づく分析結果であり、首都圏賃貸市場の安定化傾向と地域特性の明確化を客観的に示すものとなっています。市区町村レベルでの詳細分析により、投資判断や事業展開における具体的な指標を提供しています。

categories

カテゴリー

Keyword

トレンドキーワード

latests

最新のコラム

関連記事