
書評『億り人まっつんの資産増強計画!!』まっつん・著
2025.6.12
賃貸経営の成功には、時代に応じた戦略と、長年の経験から得られる深い洞察が必要です。プロフェッショナルとして賃貸経営で成果を上げ続けている不動産投資家の著書を取り上げ、その知見を掘り下げていきます。
今回は、『億り人まっつんの資産増強計画!!』(まっつん・著/ダイヤモンド社/2025/4)を紹介します。
投資成功者のモデルケースを時系列で紹介
「卵は一つのカゴに盛るな」
投資業界には様々な格言や名言がありますが、これも有名な言葉です。元々はイタリアのことわざが由来のようですが、たくさんの卵を1つカゴに盛っていると、カゴがひっくり返ったとき全ての卵が割れてしまう。転じて、投資においても性質の異なる商材や資産に分散投資して投資することで安定した資産運用になるという意味になっています。
株式や証券、債券、そして不動産など、投資には様々な種類があります。世の中の不動産投資家と呼ばれる人たちも、不動産投資だけを投資対象として運用している人はごく僅かで、実際にはこれらの投資商品を組み合わせ、経済情勢にあわせて組み替えることで、利益を上げています。
では、実際にどのような投資をどのような判断で、行っているのでしょうか。そのモデルケースを自身のこれまでの経歴と共に紹介しているのが、本書『億り人まっつんの資産増強計画!!』です。
兼業投資家として、現在も大手ホテルで働きながら、区分・一棟マンション、太陽光発電、国内外の個別株、金、暗号資産、投資信託など、様々な投資を行い、40代半ば時点で資産は3億円を突破している著者。その18歳から現在までの生い立ちとともに、投資の内訳が紹介されています。
なかでも重要アイテムとして登場するのが「トレースアクションシート」と呼ばれる投資のロードマップです。まっつん氏は、ホテルのバーで勤務するうちに、そこの常連客で投資家の渡辺さん(仮名)と出会い、渡辺さんを”投資メンター”として、師事するようになります。
そして、ひとまずの目標として掲げた「資産1000万円」を達成するため作成された「トレースアクションシート」。短期・中期・長期に分けられたスパンで、どのような投資が行えばいいのか書かれているシートでした。“「とにかく、君はこのシートに書かれた行動をまねするだけでいいからね」”という渡辺さんの言葉を忠実に守り、実際に投資を開始して1年足らずで資産1000万円を達成してしまいます。
その後も、様々なやり方で資産が拡大し、前述の通り総資産3億円以上となる著者。本書を通して伝わる大きなメッセージは2つ。
1つ目は、不動産投資は堅実な投資として底堅いということ。
ワンルームマンション10部屋、一棟マンションを3棟、それ以外にも沖縄のリゾートマンションなどにも投資を行っているまっつん氏、“僕の資産を爆増させてくれたのは主に不動産投資でした”と述懐しているように、やはり不動産投資は物件選びや借入、そして運用方法さえ見誤らなければ、十分にチャンスのある資産運用であるということがわかります。
2つ目は、投資を行うにおいては、十分に信頼できる。また、実績のあるメンター(師匠)を見つけることが重要であるということです。
まっつん氏自身も、先ほど登場した渡辺さんに師事し、また渡辺さんからの紹介で繋がった杉崎くんとは不動産投資の情報交換などを行い、資産を拡大させていきます。
“投資にメンターは必要であり、実際に結果を出している人の導きほど信じられるものはない”
というのは、投資を始めたばかりのまっつん氏の言葉ですが、確かに投資初心者には、どういった種類の投資商材があるのか、それぞれの特性やリスクなどを横断的に把握することは困難でしょう。そういった知識を惜しみなく提供し、また親身に導いてくれる存在を見つけることができれば心強いことは言うまでもありません。
では、どうやってそういった人と出会えればいいのでしょうか。まっつん氏は本業のホテルでの業務の中で、投資メンターとなる渡辺さんと出会っています。言い換えれば、ホテルマンとして真剣に働いた結果、良い人間が集まってきたとも考えられます。つまり、本職・本業を真面目に取り組むことこそが、よい人間関係を築く近道なのかもしれません。
投資というものがどういった流れの中で行われているのか、その全体を把握するといった意味においても、参考になる投資入門書です。
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